現在の日本では銀行にお金を預けていてもろくな利息がつかないため、株式投資や投資信託などの資産運用を始める方が増えています。その中で分配金が毎月支払われる「毎月分配型の投資信託」に興味がある方は多いのではないでしょうか。
一定の配当が毎月入ってくることで人気もありますが実はデメリットが多いのです。こちらの記事では毎月分配型投資信託の落とし穴についてお話していきます。
毎月分配型投資信託とは?
毎月分配型の投資信託は、1か月ごとに決算を行い、収益などの一部を分配金として毎月投資家に分配をするような仕組みとなっています。毎月小まめに利益を受け取ることができるため、成果を感じやすく人気の商品になっています。
分配金の仕組み
分配金には 2 種類の方法があります。
普通分配金は皆さんがイメージしているものと相違ないと思います。投資信託の運用で得た収益を毎月分配するということですね。しかし、特別分配金はどうでしょう?元本を切り崩して支払われているということは、言い換えるとただ自分が支払ったお金が戻ってきているだけなのです。もちろんそのような分配金ではあるので税金がかからないということになります。
「分配金が多いほど運用成績が良い」と思ってしまうのは間違い
よく分配金の多さを売りにしている投資信託もありますが、決して運用成績が良いからその分配金額を確保しているわけでは無いのです。
そういった投資信託は概ねハイリスクハイリターンの金融商品で構成されている場合が多いので運用益もそのときによって落差が大きくなるといえます。
もちろん好調に運用益が出せていれば利益は出ますが、もし運用益が足りない場合は先ほどの特別分配金として自分の支払った元本が一部戻ってくるのです。
特別分配金により元本が減った場合の例
特別分配金により元本が減った場合の運用の影響について解説します。
※1,000 円の投資信託を購入して 10%運用益が出た場合 1,000 円×10%=100 円の運用益
※毎月分配型投資信託で 1,000 円の投資信託を購入して特別分配金として 100 円引かれた後に 10%運用益が出た場合
1,000 円-100 円=900 円
900 円×10%=90 円の運用益
このように元本が減ることにより運用益もその分減ってしまうのです。例として 1,000 円で計算しましたが、本当は数十万、数百万と投資することを考えるとこの差はバカにならない数字になってきます。ましてや長期投資で長い年月をかけて運用することを考えるとその差は百万円以上ついてしまう可能性もあります。
複利効果も薄れて損する?
投資の複利効果は長期的にみると大きなリターンを発生させます。
資産 500 万円を年利 2%で単利運用した場合は 30 年後に 800 万円の資産になっているのに対して、複利運用をした場合は 905 万円になっているのです。これほど単利運用と複利運用には差があるのです。
これを踏まえると毎月分配型投資信託の場合、発生した分配金を再投資しないで受け取ってしまう形になるので単利での運用になってしまうのです。
分配金を再投資するプランもあるのですが、運用益が分配されると課税されてしまうため再投資する金額が分配された金額より低くなってしまいます。
分配金が支払われる度に基準価格が下がっていく
毎月分配型投資信託の分配金はファンドの資産から支払われます。そのため分配金を支払えば支払うほどファンドの価値が下がってしまうのです。毎月分配型投資信託は基本的に基準価格が下がっているはずです。
それでも分配金と合わせればそれなりの金額にはなりますが、分配金を運用で発生した利益と勘違いして散財してしまうと痛い目に合う場合があります。手元にお金があると使ってしまう傾向のある人には毎月分配型投資信託は向いていないかもしれません。
毎月分配型ではない投資信託を選択しよう!
毎月分配型投資信託は毎月手元に入るお金があるため、投資の効果を実感しやすくモチベーションも上がりやすいですが、上記で解説した分配金の仕組みから分かるように、毎月分配型投資信託を選択するメリットは少ないです。ましてや長期的に運用を考えている人にとってはデメリットしかありません。
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